おいしいごはんが食べられますように。私も会食は苦手なので、周りと共感しながら楽しく食べなければならない空気感や暗黙のルールに対する二谷の嫌悪感はよく分かる。

表題からも察せられるように「ご飯」を食べるシーンが多く登場してくる。ほんわかご飯ものかなと気をゆるませるが最後でした。 基本的に誰にも完全に共感できなかったし、気分が悪くなったりする描写があったりはするものの 特に職場における暗黙の了解や現代社会の歪さがうまく言語化されていて、 身につまされる思いを何度もした。 芦川、押尾、二谷、みな三者三様ではあるが、 この三人の部分部分は社会に生きているものは 多からず少なからず持っているのではないのだろうか。僕たちは時には芦川になり、押尾になり、二谷になるのだろう。第167回芥川賞受賞作。閉鎖空間でもある職場における人間関係の機微をきりとった佳作ですね。芦川さんという女性キャラの「恐ろしさ」がじわりじわりと染みてくる「ホラー小説」と山田詠美はじめ女性審査員が高く評価しているのは、同性同士ゆえ見える「あざとさ」があるんでしょう。初めて女性作家さんばかりとなった今回のレースで選ばれたのもどこか因縁ですね。今回の「お仕事もの」で芥川賞という点では、絲山秋子の「沖で待つ」を思い出しました。個人的には絲山さんの方に軍配を上げます。文芸春秋9月号で読了。芥川賞作品だなぁ。今村夏子先生作品やコンビニ人間、推し燃ゆみたいな系統。ほのぼの食レポ小説を想像してたけど。人間関係は接着剤で片角だけ留められて宙ぶらりんになる鉄板を眺めてる気分、落ちやしまいか、離れた方が良いのかをずっとハラハラ見守るような。心理描写はずっと浅い土の中を進むモグラの痕跡を観察するような気持ち。不可解な展開と、厭なズレの人間たちの内面を、いつの間にかのめり込んで追いかけてるのは怖いもの見たさなんだろうな。二谷が考えてることを理解するのがすげえ難しかった。 自分は結構ご飯食べるの好きでこだわるタイプだと思うのだが、こういう人間もいるんだなと。 あと、二谷→芦川への気持ちも理解がすげえ難しい。 言いたいことははっきり言いなよと思いつつ、2人がすれ違っている様子を観察しましたが。 そして最後には……結婚……⁉️二谷の感覚はなかなか理解しづらくて入り込めず、女同士の関係性を主軸にして読んでしまった。正直、芦川さんみたいな人がほんっとに苦手です。次点で原田さんみたいな人が嫌いです。押尾さんの気持ちが本当によくわかる。誰より押尾さんに感情移入してしまった。会社でも、友人付き合いでも、どこでもあるよね。どこでもある。タイトルしか知らなくて、思ってた内容と全然違かった笑美味しいご飯が食べられますようにっていうタイトルに込められた意味が読み終わった後は意味深だな、、、と感じた。押尾さんが自分に似てた。嫌いなものは攻撃したくなるのすごくわかるし、芦川さんが生理的に苦手すぎる笑芦川さん目線も読んでみたい!思ってたのと違った。共食圧力と、弱者を守る圧力に疎外を感じる主人公たちの話。二人の視点に共感すると、芦川さんがとてもおめでたい人のように思えてしまうが、それが何かおかしいんだよなあとモヤモヤしながら読んだ。/何がおかしかったのだろう。守ることを暗黙の了解にしてしまった職場? 弱さを理由に猫を助けなかったこと? 度を過ぎたいたずら?/誰でもある側面では少数派で、別の側面では多数派たりえるのだから、結局お互いが譲歩していくしかないんだろうなと思う。嫌いなものは嫌いと言える社会であってほしい。イヤミスならぬイヤ純文学。不器用を生真面目でやりくりして労働してるタイプのトラウマを抉ってくる感じ。人が死んだりする小説じゃないけど陰惨な話だなぁって憂鬱になってしまった。そういや作者のデビュー作もこんな風だったような。。なんで、二川はもらったお菓子を握りつぶしたくなる気持ちになる人と一緒にいるんだろう。放っておけないような可愛い人がタイプで付き合ってるのに、芦川さんをずっと見下した感じでいるのが理解できない。 押尾さんは苦手な人に対して距離を置かず攻撃するタイプで、怖い。 主要登場人物3人とも苦手だけど、職場特有の嫌な感じの雰囲気が伝わった。好きで一緒にいるわけじゃない集団だから、色々あるなあ。。とても読みやすかった。話の舞台となる職場での人物の描写が素晴らしく上手いと思う。二人のOLを心理描写や料理好きか嫌いかに置き換え対比していく。 最終的に二谷さんは幸せになれるのか、考えさせられる。 タイトルもなるほどでした。芥川賞受賞作品。二谷を挟んで押尾、芦川がバランスを取りながら、微妙な関係が進む。凄いのは、押尾に「芦川さんは嫌い」と言わせて、意地悪をしていこうと二谷に提案。会社で芦川をいじる。動じる様子をみせない(意地悪を感じない)芦川も凄かった。押尾、二谷の送別会での芦川製ケーキの味は苦かっただろうな。働く人なら分かる事が詰まっていると聞き読む。読後は辞めた前職が思い出されて体調が悪くなるなど…。すごい作品…。自分の犬の世話すらできない芦川が、世の中で生きていく為に身に付けた「笑顔」や「可哀想で守りたくなる可愛さ」。押尾の転職や最後の職場での挨拶が輝いて見える。結局最後に芦川が望んでいる言葉を出した二谷も"普通の人"なんだなと。芦川視点がないのがベタだけど良い。他人の心の中なんてみんな分からないから。個人的に開始6頁目でドン引きし、127頁目がそれを凌駕してきて、そこからの130頁目からの展開が怖い。とにかく面白かった。芦川さんの語り口はないのに行動から人物像がくっきりと浮かび上がる。天然なのかあざといのか、、判断できない。でも職場にいたらイライラすること間違いなし。登場人物の理解できない行動が多い中、最後の押尾さんのスピーチは良かった。胸がスカッとした。行動と言語が一致すると納得してしまう。二谷は感情は置いといてどう行動したら無難に生きられるのかが優先順位に思えるが、それを何十年も続けられる程人間は単純じゃないと思った。この小説は職場あるあるなので、登場人物について誰かと語りたくなる話題が満載。居心地の悪さが現実っぽくて読み甲斐があった。登場人物みんな入り込めなくて、でも断片的に「これわたしやん…!」ってハッとする瞬間があった。不思議。私は食べることに執念を燃やす方だと思って生きてきたのですが、、私は一体今まで何を食べてきたの…?となった。タイトル『おいしいごはんが食べられますように』は、押尾から二谷への言葉なのかな?って読後すぐには思ったんだけど、どうなんだろう。誰かと話したい〜。。3人の内誰に近いか? と聞かれたら押尾かもしれない。あんな意地悪はしないけれど体調不良で優遇されているのに贖罪代わりにスイーツを作って来る、芦川の様なタイプは私も無理。担当する部下や後輩に居たら、菓子を作る時間があったら体調を治す、体質を変える、意識改革をする等をしてほしいと注意している。そもそも二谷と芦川の二人は続くのだろうか? 部署も離れたし、ニ谷がつぶしたお菓子がその後の二人の関係を暗示している様にも感じた。と書いてしまうぐらい、最後まで夢中に読んでいた。インタビュー通りの著者の作風だろうなとも。