2020年9月にリリースされた「原神」は、すぐに世界中で大ヒットを記録したオープンワールド型のRPGです。美麗なグラフィック、緻密な世界観、豊富なコンテンツにより、プレイヤーからの評価も非常に高く、しばしば「ブレス オブ ザ ワイルド」に似ているとも言われる自由度の高さで注目を集めました。しかし、その成功の裏で「原神」はたびたび炎上を引き起こしています。その原因は複雑で、多岐にわたる要素が絡み合っています。本記事では、具体的な炎上事例を挙げながら、その背景にある問題について解説していきます。
炎上1:文化盗用・キャラクターデザインに対する批判
「原神」が最初に大きな批判を受けたのは、リリースから間もなくのことでした。一部のキャラクターや世界観が特定の文化を不適切に表現していると指摘され、特に西洋圏のプレイヤーから強い反発を招きました。
その中でも特に議論を呼んだのが、キャラクター「ジン」や「リサ」が着用している衣装についてです。これらのキャラクターが着用する衣装は、ヨーロッパ中世の服装に似せたデザインとなっていますが、一部のプレイヤーはこれを「文化盗用」として批判しました。また、アジア系のキャラクターのデザインに関しても、ステレオタイプ的な描写や外見を強調しすぎているとの声が上がりました。
このような批判が巻き起こった背景には、ゲームがグローバルな市場に向けてリリースされたことが影響しています。異なる文化圏での感覚や価値観の違いに対する配慮が十分に行き届いていなかったことが原因と考えられます。
炎上2:ガチャシステムと課金モデルへの不満
「原神」は基本プレイ無料のゲームですが、いわゆる「ガチャ」要素が強く、レアなキャラクターやアイテムを獲得するためには、実際のお金を使ってガチャを引くことが重要です。このガチャシステムが炎上の火種となりました。
特に問題視されたのは、キャラクターの排出確率の低さや、ゲームの進行におけるガチャ依存度の高さです。一部のプレイヤーは「天井」システムに不満を抱き、キャラクターを引ける確率があまりにも低く設定されているため、重課金しないと目当てのキャラを入手できないと感じました。
また、ガチャに関連する炎上の一例として、2021年に実施された「1周年記念イベント」が挙げられます。このイベントでは、プレイヤーに対して十分な報酬が提供されず、期待に応える内容とは言い難いものでした。多くのプレイヤーは、これまでの投資(課金)に見合う報酬が与えられていないと感じ、不満が爆発。結果的に公式SNSやレビューサイトには批判の声が殺到し、運営側も謝罪に追い込まれる事態となりました。
炎上3:キャラクターの背景設定に対する誤解
「原神」には多くのキャラクターが登場し、それぞれが豊かな背景設定を持っていますが、その中にはセンシティブなテーマに関わるものもありました。例えば、キャラクター「クレー」や「ロサリア」に関するストーリーが、一部のプレイヤーにとって不快なものと受け取られ、議論が巻き起こりました。
「クレー」は、非常に幼い見た目のキャラクターでありながら強力な爆弾使いで、無邪気に危険な行動を取るというギャップがある設定です。これが一部のプレイヤーから「子供のキャラクターを危険な役割に置くことが不適切だ」と批判を受けました。また、「ロサリア」というキャラクターは、修道女でありながら冷徹で暴力的な一面を持つため、宗教的なイメージを不当に歪めているという指摘がなされました。
こうしたキャラクター設定に対する批判は、ゲームの物語やキャラクターの解釈が文化や宗教の感覚に触れるものであるため、炎上が発生しやすい要因となっています。
炎上4:中国政府との関係性を巡る問題
「原神」の開発元であるmiHoYoは中国の企業であるため、中国政府との関係についても疑念が持たれることがあります。特に、ゲーム内での検閲や、特定の表現が削除されるといった問題が注目されました。具体的には、「台湾」や「香港」といった用語の扱いや、チベットに関連する問題が炎上の原因となりました。
また、中国政府が強化しているゲームに対する規制が、「原神」の運営にも影響を及ぼしているのではないかという懸念が、西側のプレイヤーの間で広まりました。このため、一部のプレイヤーはゲームを政治的なツールと見なし、不買運動を呼びかける動きもありました。
炎上5:バグやチート行為に対する対応の遅れ
「原神」はその膨大なコンテンツ量ゆえに、度々バグや不具合が発生します。特に、リリース直後にはバグ報告が相次ぎ、その対応が遅れたことから炎上するケースがありました。また、チート行為や不正プレイに対する対応が不十分だと感じるプレイヤーもおり、これも炎上の原因となりました。
2021年には、一部のプレイヤーがチートツールを使って不正にゲーム内リソースを増やしたり、高難易度のコンテンツを簡単にクリアする事例が発生しましたが、運営側の対応が遅れたため、正規プレイヤーからの不満が高まりました。miHoYoはその後、チート行為を行ったアカウントを次々に停止する措置を講じましたが、この対応の遅さが批判の的となりました。
結論:なぜ「原神」は繰り返し炎上するのか?
「原神」がこれほどまでに繰り返し炎上する理由は、いくつかの要因が複合的に絡み合っているからです。一つは、グローバルな市場をターゲットにしたゲームであるため、文化や価値観の違いによって多様な批判が生まれやすいことです。また、ガチャシステムや運営の方針に対する不満が、ソーシャルメディアを通じて瞬時に広まることで、炎上の規模が拡大します。
さらに、miHoYoの運営体制や対応の遅れも、問題がこじれる要因となっています。高い期待を持つプレイヤーが多いからこそ、運営側にはより迅速で的確な対応が求められるのです。
「原神」はその魅力的なゲームデザインやストーリーで多くのファンを持ち続けていますが、同時に批判や炎上と隣り合わせの存在でもあります。今後、運営側がどのようにこれらの課題に対処していくのかが、ゲームの持続的な成功に大きく影響を与えることでしょう。