2024年10月に発売された『メタファー:リファンタジオ』は、アトラスファン待望の新作として登場しました。『ペルソナ』シリーズを手掛けたクリエイター陣による完全新作RPGということもあり、発売前から大きな期待が寄せられていた作品です。ファンタジーRPGでありながら、ペルソナシリーズに似たゲームシステムや演出が特徴的な本作。今回は、その魅力と不満点を総合的に振り返りつつレビューをお届けします。
あらすじ
『メタファー:リファンタジオ』の物語は、国王が暗殺され、新たな王を選ぶ選挙が突如始まるというドラマチックな展開から幕を開けます。プレイヤーは「旅の少年」として、幼馴染の王子にかけられた「死の呪い」を解くため、妖精の相棒「ガリカ」とともに広大なファンタジー世界を旅します。この旅の途中で様々なアーキタイプ(クラス)に覚醒し、多彩な能力を持つ仲間とともに、強大な敵に挑むことになります。
物語の魅力は、ファンタジーという枠組みを超え、複雑な人間関係や王国の政治的陰謀が絡み合う点にあります。プレイヤーは、少年として王国の命運を背負い、選挙という特殊な状況下で決断を迫られ、成長していきます。
ペルソナと女神転生の融合
まず本作の最大の特徴は、ペルソナシリーズのシステムをベースにしつつも、独自のファンタジーRPG要素を強化している点です。プレイヤーは、従来のペルソナシリーズでお馴染みのターン制バトルをベースに、各種のアーキタイプ(クラス)を駆使して戦略的に敵と戦います。
感想の中には、「ペルソナの枠に女神転生のバトルシステムを入れたATLUSの集大成」という表現がありましたが、まさにその通りです。ペルソナのコマンドバトルに加え、各アーキタイプの特性を活かした戦術が求められ、バトルの奥深さが増しています。ペルソナシリーズよりもさらに手札の多さが求められるため、バトルでは「物理+魔法」などの複合的なスキルセットを組み合わせる必要があり、戦略性が非常に高くなっています。
このシステムの楽しさを感じる一方で、難易度が高く、特にボス戦では「手持ちのスキルセットが合わないと、圧倒的に不利になる」という意見も見られました。ボス戦をメタビルドで挑むことが求められるため、プレイヤーにとっては「戦略的思考」がかなり重要な要素となっています。
ビジュアルとUIの印象
ビジュアル面については、全体的にペルソナシリーズを思わせる独特のスタイリッシュなデザインが踏襲されています。しかしながら、その「オシャレさ」が行き過ぎたことで、UI(ユーザーインターフェース)が視認しづらいという意見も少なくありません。
「UIはP5と比較しても明らかに見辛い。シンプルなUIも選べるならシンプルな方を選ぶレベル」という感想は多くのプレイヤーが共感するポイントでしょう。また、「MAGの欠片」という要素が画面を占有しているため、視覚的に疲れやすくなるという問題も指摘されています。ペルソナシリーズのデザイン哲学を踏襲しつつも、視覚的なストレスを感じることが多い点は、改良の余地がありそうです。
戦闘と成長システムの奥深さ
『メタファー:リファンタジオ』の戦闘システムは、従来のアトラスRPGと同様に、手に汗握る戦略的な要素が光ります。特に、中ボスやボス戦では、戦闘に挑む際のビルドが非常に重要となり、プレイヤーはその都度適切な戦略を立てる必要があります。
感想の中でも、「ボス戦ではメタビルドで挑むことが必要」という声があり、ペルソナシリーズよりもさらにプレイヤーの手札(スキル構成)が多様である必要があるとされています。敵の耐性や反射スキルに対応するため、物理攻撃や魔法攻撃を柔軟に切り替えることが求められ、バトルが一筋縄ではいかない点が非常に面白いと感じました。特に、複数の属性や役割を持つキャラクターをどのように育成し、編成するかという戦略的要素は、本作の大きな魅力です。
ただし、「雑魚敵をアクションで一掃できる」という要素については、賛否両論があります。一部のプレイヤーは、これが「モルガナバスで敵を轢いていたペルソナ5Rと同じようなシステム」と感じ、やや単調さを感じる場面もあるようです。
音楽と演出
『メタファー:リファンタジオ』の音楽は、シリーズの伝統を受け継ぎながらも、独自のファンタジー要素を取り入れた壮大なオーケストラが特徴的です。特にボス戦や主要なイベントシーンでのテノールのオーケストラBGMは、プレイヤーに緊張感と高揚感を与える素晴らしい演出となっています。
一方で、「ペルソナシリーズの音楽に比べて、エピック感はあるが印象に残りにくい」という意見もあり、音楽面では好みが分かれる部分かもしれません。しかしながら、アトラスらしい力強い演出とともに、世界観を支える重要な要素として機能していることは間違いありません。
総評
『メタファー:リファンタジオ』は、アトラスがこれまで培ってきたノウハウの集大成とも言える作品です。ファンタジーRPGとしての独自性を保ちながらも、ペルソナシリーズに似たシステムや演出がファンにとっては懐かしく、同時に新しい挑戦を感じさせる内容となっています。
視覚的な疲れやすさやUIの難点、難易度の高さといった不満点もあるものの、物語、キャラクター、戦略的な戦闘の奥深さは十分に満足のいく仕上がりです。特に、アトラスRPGが好きな方にとっては、見逃せない作品と言えるでしょう。
最終的に、ペルソナシリーズや女神転生シリーズのファンにはもちろん、新しいファンタジーRPGを求めているプレイヤーにも強くおすすめできる一作です。
プレイヤーの感想
『メタファー:リファンタジオ』に対するプレイヤーの感想は、多岐にわたっています。シリーズの過去作『ペルソナ』や『女神転生』と比較する声が多く、アトラスファンの期待が高かったことが伺えます。ここでは、代表的なプレイヤーの感想をいくつかご紹介します。
1. ペルソナシリーズとの類似性
多くのプレイヤーが指摘しているのは、「ペルソナシリーズに非常に似ている」という点です。特に戦闘システムやキャラクターの成長システムがペルソナの延長線上にあるため、初めて本作をプレイした瞬間から「これはペルソナっぽい」と感じたという意見が見られます。あるプレイヤーは、「これ、BGMを変えたらもう完全にペルソナじゃないか?」と、懐かしさとともに親しみやすさを感じたようです。
この点については賛否両論で、ペルソナシリーズが好きなプレイヤーにとっては、「待ってました」と言わんばかりの作品だと喜ばれる一方で、もう少し新鮮さが欲しかったという声もあります。「ペルソナが好きなら楽しめるが、ファンタジーRPGとして独自性が弱い」と感じるプレイヤーも少なくないようです。
2. 戦略的バトルの奥深さ
本作のバトルシステムについては、非常に高評価が集まっています。特にボス戦では、適切な戦術とビルドが求められるため、プレイヤーは頭を使った戦略的なプレイが必要となります。あるプレイヤーは「ボス戦は一度様子見してから、メタビルドで立ち向かう必要がある」と述べ、何度も挑戦する緊張感と達成感を楽しんでいる様子です。
一方で、難易度の高さに苦労するプレイヤーも少なくありません。「ノーマル難易度でもかなり手強く、敵の属性や耐性に合わない攻撃を選んでしまうと一気に不利になる」という意見があり、初見では苦戦することが多いようです。このため、戦略を立てながらプレイすることが好きなプレイヤーにはピッタリですが、カジュアルなプレイを好む人には少し厳しいかもしれません。
3. UIとビジュアルのデザイン
本作のビジュアルとUI(ユーザーインターフェース)に関しても、意見が分かれています。全体的にスタイリッシュなデザインが施されている一方で、「UIが見づらい」という指摘が多く寄せられています。特に「MAGの欠片」という要素が画面上に表示されていることで、視覚的にごちゃごちゃしていて目が疲れるという意見が複数ありました。
プレイヤーからは、「シンプルなUIも選べるなら、そちらを選びたい」という声もあり、視認性に関して改善が望まれているようです。この点は、今後のアップデートや完全版のリリースに期待したいところです。
4. ストーリーとキャラクター
ストーリーに関しては、多くのプレイヤーが「重厚かつ魅力的」と高く評価しています。主人公が巻き込まれる王国の政治的な陰謀や、彼を取り巻く個性的なキャラクターたちとのやり取りがドラマティックで、続きが気になって仕方がないという声が多く聞かれました。特に、「ペルソナのような日常パートと、ファンタジーRPGの壮大なストーリーが上手く融合している」という感想が目立ちます。
また、キャラクターたちの個性もプレイヤーにとって大きな魅力の一つです。「相棒の妖精ガリカの存在が心強く、旅の孤独感を和らげてくれる」という意見や、「登場キャラクター同士のコミュニケーションが面白い」といった感想が寄せられており、ストーリーの重さの中にある軽快な会話やユーモアがプレイヤーの心を掴んでいることが伺えます。
5. 音楽と演出
音楽については、プレイヤーの間で意見が分かれています。壮大なオーケストラが本作のファンタジー要素にマッチしている一方で、「ペルソナシリーズに比べると、少しインパクトが弱い」と感じるプレイヤーもいます。「エピック感はあるけれど、印象に残りにくい」との声がある一方で、特定のボス戦や重要な場面での音楽が、場面の緊張感を引き立てているという評価も多く見られました。
また、演出面では、アニメーションカットシーンが多用されており、物語の重要な場面を視覚的に盛り上げている点が好評です。「アトラスらしい力強い演出が光る」という意見や、「アニメカットシーンが連発されるのは自己満足的に感じる」という批判的な意見も見られましたが、全体としては肯定的な評価が多いようです。
6. 総合評価
プレイヤー全体の感想としては、『メタファー:リファンタジオ』はペルソナシリーズや女神転生シリーズをプレイしてきたファンには非常に魅力的な作品と捉えられています。新たな挑戦よりも、過去作の要素を引き継ぎ、集大成としての完成度を追求している点が評価されています。
「アトラスファンなら必ず楽しめる」「RPG好きにはおすすめの一作」という声が多く、ペルソナシリーズをプレイしていなくても、十分に楽しめる作品だと言えるでしょう。
とはいえ、UIの見づらさや難易度の高さなど、いくつかの不満点も挙げられており、プレイスタイルや好みによって評価が分かれる部分もあるため、体験版を試して自分に合うかどうかを確認するのが良いでしょう。