赤と青とエスキース。構成の美しさに感動した。 最初から最後まで、美しくつながっていた。 青山美智子さんの作品は本当に外れがない。

期待どおりの面白さ。著者らしい優しい物語でした。赤と青とエスキース、タイトルが秀逸です。ラスト、予想外の繋がりに鳥肌が立ちました!最後の怒涛の伏線回収!お見事でした。 映画化(映像化)は伏線がはれないから、ないだろうなー。若手画家が描いた1枚の絵画が、長い時間を経て何人かの人生を動かすきっかけとなっていく……と書くと何だかとっつき辛そうだけど、文体も設定もサラッと優しくてとても読みやすい!一つの絵画を巡る4つの連作短編。1つ目と4つ目は同一人物だろうなまでは考えていたが、2つ目と3つ目にも登場していたとは。エピローグを読むと全てが繋がる。特に2つ目の短編、主人公がエスキートの額縁を製作する話が好きだった。100年先も絵が残るような、そして夢が夢を超えることもあるのかもしれない。 もう少し毒気と粘り気がある方が好みだし、まとめ方が綺麗過ぎてちょっと笑っちゃうぐらいなんだけど、素直に良いお話だなあとじんわり思える素敵な連作短編集でした。図書館本。エスキースと言う1枚の絵で繋がっている連作短編かと思いきや、1組の男女の愛の話でした。なんとなく「冷静と情熱のあいだ」を思い出した。お探し物〜よりも私はこちらのが好みかな。連作短編という構成は同じだが、苦味と深み、コクが増したと思う。対象年齢が上がったというか。上質なミステリーのような仕掛けも面白かった。 生きていれば、良い時も悪い時も体調が優れない時もありますね。「東京タワーとアーツセンター」の熱い感じが好きでした。「トマトジュースとバタフライピー」の師弟関係も良い。剣さんの一生懸命な感じだけど、格好つけたくなるの分かります。でもバレてるもんだよね。何より装丁がオシャレ赤鬼と青鬼の話が好き。エピローグで、あぁ、それがそこにつながるのね、なるほどね、とスッキリ。前評判やら帯の煽りやらで期待値が高すぎたせいで却って肩透かし。ワーホリの女の子がチェーンスモーカーだと言う事だけで一話目がかなり昔の話だってことは想像できたから(今のオーストラリアでは煙草一箱2千円するからとてもこんなにカパカパは吸えない)、その後のことは丸ごと想定内。ジャクソンが21歳の時から10年ごとに四話続くわけだ。この名前もポロックを連想させるよなあ。オージー訛りだとBLUEがブーでREDがレイになるのか、なるほど。それでも綺麗に纏まって仕掛けも阿漕ではなくいい印象のままに読了できた装丁に惹かれて購入。そういうことかー!となったけど、日頃内省的なものばかり読んでいるからなのか、イベントを追うような読み方になってしまって反省。再読する。何度もグッと胸に押し寄せる其々の熱い想いに涙ぐまされた。実際に見た訳では無いのに、飾られた絵が目の前に見えるようで素晴らしい表現力だなと感動。一枚の絵が繋ぐ物語。レイとブー(茜と蒼)がずっと登場していたのは気づかなかった。赤鬼と青鬼の女性はレイだろうと思っていたけど。金魚とカワセミで印象悪かったユリさん、別人ぽかった。 芸術っていい。音楽にしろ絵画や彫刻にしろ、作者はいなくても作品はずっと残る。 作品がある限りもうこの世にない作者が息しているみたい。赤と青とエスキース、想像していた以上に意味の詰まったタイトル。二度読み必死に大納得。今まで気に留めていなかった額職人の「存在」を知りたいと思えた作品でもあった。ああ、いい小説だ。時間軸のズレとあだ名と名前で読み手の想像力を試される一冊。若き日の異国での寂しさ無力さが30年後にグッと効いてくる。そしてはたと気付く。青赤ともに私と同い年。後半の怒濤の伏線回収の興奮に浸りながらも、読後の何とも言えない充足感と喪失感。50歳は、天が自分に与えた使命を悟った「知命(ちめい)」というらしい。悟るにはまだまだ。未だエスキースの途中。面白かった!今まで読んだ青山さんの作品とはまた違う感じで読み終わってまた初めから見直す感じ。新たな発見にひとりで満足感を味わう。題名の意味さえ知らずに読んだので本当に楽しめた。予備知識なしで読むのがオススメ。登場人物が皆、愛しい。オーストリア在住のブーと留学で訪れたレイの期限付きの恋。感情をコントロールできたら誰も苦労しないんですよ…からの30年に渡るふたりの物語が始まってたなんて!帯の二度読み必至は間違いなく、赤と青ってそういうこと?え、これもそうじゃん、レイとブーがこんなところに!って最終章での怒涛の伏線回収はお見事!一回読んでもう一度読み返す本は久しぶり。エピローグがジャック視点でぐっとくる。無事に旅が終わったんだね。 青山さんは短編のほっこり系のイメージだけど長編すごく良かった。これは単行本で残しておきたい。オーストラリアの青年画家が描いたエスキースにまつわる話。モデルとなった日本人留学生のその後に大きな影響を与えています。このエスキースが描かれた過程を読むと、画家としての個性を確立するきっかけとなる技術が使われていて、その分だけ思い入れの強い作品なんだなと思います。額縁の世界に触れられたのも良かったです。面白かった。青山美智子さん読破中。最後の一冊で2022年時点の最新刊を読みました。 絵、オーストラリアなどの共通点はありつつも、今までの青山さんとはテイストが違う感じでした。文章構造が面白い1冊だった。どの章も、〇〇と△△そして××、といった作り方で生命力(生きようとする力)について語られていく。プロローグを正直に読めば、第2章と第3章は「エスキース」がジャックにしかわからない言葉で語っていると捉えても良さそう。特に第2章では作品としての片翼をなす額縁がテーマなので、それだけアツくて「エスキース」にとっても大事な話だったんだろうな。赤の空知と青のジャックを結びつけて作品を完成に導くのが村崎(紫)さんなのも納得できる。こういう仕掛けみたいなものを楽しみながらじっくり読める1冊。あの二人はこの二人で、そして例の二人なのね。読み終わった瞬間、もう一度さかのぼりたくなります。でもこのくらいの余韻がいいのかも。面白かった!青山美智子さんの作品は本当に外れがない。 バラバラの話が、1枚の絵「赤と青のエスキース」によって繋がり、作者ジャック・ジャクソンの年齢によって時間の経過が分かる。20歳、30歳、40歳、50歳。 と思っていたらプロローグで全部が見事に繋がる。 30歳で円城寺画廊の二人、40歳では喫茶カドルのマスター、50歳でユリさんがオーナーの輸入雑貨リリアルで働くレイと元恋人。 赤redのレイこと立花茜と青blue のブーこと円城寺蒼の物語。人生100年時代、50歳の茜と蒼の物語はこれからも続く。うん。なるほど。最後のエピローグを読んでそれ以前の章の仕掛けに気づく。この本は1枚の絵を通してある一組のカップルの30年が描いている。読み手が異なるから気づかないかもしれないが、全ての章に2人が関わっていた事に驚いた。少し斬新だと思ったが、青山先生らしい繋がりを大事にした作風は変わらない。一枚の絵が色々な人生の場面に立ち会う話かと思っていたら、最後の仕掛けに気付いたところで(いい意味で)鳥肌たちそうになった。章タイトルが毎回赤と青の対比なのもあとから気付いた。男性向け情報誌DAPの乃木さんって、『鎌倉うずまき案内所』の…!恋人男女とエスキースをめぐる5つの連作短編集。メルボルンでの二人の期限付き切ない恋物語「金魚とカワセミ」。絵をさらに生かすための額縁職人の心意気に触れた「東京タワーとアーツ・センター」。努力家漫画家師匠と天才弟子との心の交流「トマトジュースとバタフライピー」。ストレスで動悸の発作を抱える50歳レイと穏やかなプー「青鬼と赤鬼」。30年を経て、二人が一緒になり、エスキースを巡っての作家ジャックとの交流「エピローグ」。これは、学生時代から50代までのレイ(茜)とプー(蒼)と共に生きたエスキース(下絵)の話だ。構成の美しさに感動した。 一貫したテーマがエスキースの絵である、ということにとらわれて、最後の主人公がレイである、ということに気づかせないトリックにまんまとはまるし、その場面や台詞も印象的なせいでより一層の驚きと感動だった。 ひとつひとつの短編の完成度が高い、きちんと作品になっていることが何よりも素晴らしい。 赤と青という色彩の美しさ、エスキースという言葉の持つ意味と作品中での役割と重要性、ブーとレイの関係性への踏み込み、そして読みやすさからみんなが好きになるのも納得の作品でした。いい本を読めたなあという満足感でいっぱい。1章は、メルボルンでの期間限定の恋人ブーとレイの物語。各章が《エスキース》の絵画と縁ある人の連作短編集。2章の額縁職人と3章の漫画家、それぞれの師匠と弟子がお互いを思いやる言葉がとても心地よく、4章も主人公に心寄せながら読んでいたら、終盤仕掛けが明らかになり驚いた。長い年月をかけて紡がれていた奇跡の物語だった。《エスキース》から次に始める《本番》にはどんな未来が描かれるか楽しみだ。赤と青を、モチーフにした題名はじめ、様々な名前、人名はとっても楽しかった。表紙も素敵。読みやすくてオシャレ。読後温かい気持ちになれる。 一つの絵を背景に、色々な人の暮らしや葛藤、光も見せてくれて最後のああそうかのはらおち感! 各話の登場人物も身近で親近感があり、それぞれの環境で頑張って生きているのがいい。 人生は一度しかないと考えたら怖くて思いっきりなんてやれないけど、人生は何度でもあると思ったらどこからでも、どんなふうにでも新しく始められる。 だけどそれを経験する体は一つだから、なるべく長持ちさせる。 時には生き延びること、ただそれだけでいい。 自分も世の中も常に変わっていくから。