女のいない男たち。 誰かを失うと深く傷つくが強がって傷ついていないふりをしてしまうこともある。しかし然るべき時に傷ついておけば免疫がつく

映画『ドライブ・マイ・カー』を観て、原作を読んでみたくなり、読みました。原作は映画とはだいぶ設定が異なり、よくこの量であの物語を作れたなと関心してしまうぐらい、原作と映画には開きがあります。ドライブ・マイ・カー以外の話もどれも、女が去ってしまった男達のダメダメっぷりが、これでもかと詰め込まれています。私は村上春樹が好きなので、大丈夫なのですが、村上春樹独特のくどさ(バターにバターソースかけて食べるような)や生々しい性描写(独特な性癖)が苦手な方は読むのを止めておいた方がいいでしょう。「シェエラザード」が特に面白かった。村上春樹にしては分かりやすい話の進み方だったし、内容も読み進めるごとに引き込まれた。「木野」は個人的に面白かったが、長編で読みたい話だった。村上春樹の長編小説を短編にまとめてダイジェストで読んでいるような感覚で、もったいない気持ちになった。ドライブ・マイ・カー」→高槻を値踏みする、家福の非情さが素敵。 「イエスタデイ」→いつ読んでも可笑しくて切ない。 「独立器官」→命取りな恋。江國香織の「桃子」を思い出した。実話っぽく書かれていて 、『東京奇譚集』に入っていても違和感なさそう。 「シェエラザード」→羽原の置かれてる状況は明かされないまま終わるのが不思議な感じ。 「木野」→長編をぎゅっと短くしたみたいな短編だと思った。続きがあるんじゃないかと勘ぐってしまう。木野。村上春樹っぽくて好き。 p122当時は僕のまわりで次々にいろんなことが起こったし、それに追いついていくのがやっとで立ち止まってそこで起こったものごとをいちいちノートに書き留めておくような余裕はとてもなかった。(イエスタデイ)p178しかし僕らの人生を高みに押し上げ、谷底に突き落とし、心を戸惑わせ、美しい幻を見せ、時には死にまで追い込んでいくような器官の介入がなければ、僕らの人生はきっとずいぶん素っ気ないものになることだろう。(独立器官) 「女のいない男たち」→シュール。ドライブ・マイ・カーを観て。「ドライブ・マイ・カー」は近所の地名が出てきてテンション上がった。家福の、観客のいない演技、を西島さんはちゃんとやってたよね。「頭で考えても仕方ありません。こちらでやりくりして、呑み込んで、ただやっていくしかないんです」「そして僕らはみんな演技をする」 「独立器官」もし実話だったら嫌だな…恋煩いで死んじゃったお医者の話。「シェラザード」ドライブ・マイ・カーの一部はこっから来てる。ベッドで語られるお話。 しかし久しぶりに村上春樹読んだけどやっぱり面白いな!前書きで言っているように一つのテーマについて書かれた短編集なので、ヒントが多い分、村上春樹にしてはわかりやすい?いやわかんないけどわかるような、明言出来ないけど感覚的に理解はできるような…。六つの短編で構成されたこの本。独立しているが、初めの解説にある通り、一貫性を持った作品だった。 そしていつも思うのは、それぞれの物語に出てくる人々の姓が、珍しいという事。映画『ドライブ・マイ・カー』が面白かったので読んでみた。 「僕は彼女の中にある何か大事なものを見落としていたのかもしれない」それを致命的な盲点と語る家福に、高槻は「本当に他人を見たいと望むなら自分自身を深くますっすぐ見つめるしかない」と言った。 何かの役を、自分を演じることでしか接することができない。そうやって心の内を見せない男が、他人の心の内を探ろうとしている。 彼女の心の見えない部分を覗き込むのに必死で、自分の中の問題に気づけないのが、彼の盲点だったのではないだろうか?『木野』 傷つくことからいくら逃げ続けても、自分の心からは逃れられない。 深夜に響くノックの音が激しく心を揺さぶる。 痛みを感じることは苦しいが、その痛みこそ存在の証明なのだ。 心を手放さないために、寸前で踏みとどまる。 やがてノックの音は脈打つ心臓の鼓動になり、窓を叩く雨音と重なる。 『木野の内奥にある暗い小さな一室で誰かの暖かい手が彼の手に向けて伸ばされ、重ねられようとしていた』 木野は暗く静かな部屋の中で涙を流す。 妻との別れの時に重ねられた手の最後の温もりを、ようやく感じとれたのだろうか?実ははじめての村上春樹作品でした。 アカデミー賞を受賞した作品だったので、気になって読んでみました。しかし、ドライブマイカーは、私にはイマイチピンと来なくて、ちょっと残念でした。 木野の内容が、気になる感じでした。 作品によっては、ぐるぐる回っていて、なかなか進んでいないような気にもなり、初心者には、まったく難しいとも思いました。アカデミー賞を受賞され、映画を見て、何とも言えない気持ちになり、小説も読んでみた。結構、映画とは違っていてこれはこれでまた別の作品として楽しめる。個人的に村上春樹さんの本でも読みやすい短編ばかりでした。前半のお話がわかりやすくて好きでした。独立器官はタイトルの意味が恐ろしい。映画が良かったので読んでみたが、まったく合わなかった、、、たぶん好きな人はいるんだろうし、刺さる人はいるんだけど、私は嫌い、、、こんなロマンチックな目で女のことを語られても、、、という感じ。アカデミー賞受賞って話題に乗って読了。映画の原作ドライブマイカーをはじめとして6作の短編からなる短編集。はじめから読み進めて、最後のタイトルにもなっている「女のいない男たち」で完結するような内容。一人の女性を深く愛し、そしてその女性が去ってしまう。そうなると男ってどうなるのか、人によって様々なんだろうけど、依存っていうのかな、ぽっかりと穴が開いたような状態が後に広がって乗り越える事ができないと自分も自分から去るしかないって感じかな。とても村上春樹さんらしい短編でした。ドライブマイカーの映画を観る前に先に原作から読もうと手に取りました。村上さんの作品はあまりたくさん読んでませんが、なんだか青春とか女性像にひっかかりを持った男性が主人公なものが多い印象で、この短編集はまさにでした。映画はこの短編集のいくつかをつなぎ合わせたような感じでしたが、世の男女はこんなにも経験を重ね業を抱えて生きているものなのでしょうか。とりあえずちょいちょいグサッとくる表現や一文を読むだけで満足感はすごいです。何にグサッときたかはもう覚えていないですが。そんなものですよね。文庫の新刊 村上作品は久しぶり アカデミー賞受賞作の原作ということで 映画は見ていないが この短編集の複数の話が取り入れられていると聞く 「ドライブ・マイ・カー」は俳優の家福が飲酒事故を起こし 免停となったので雇ったドライバー・みさき 赤色じゃなく黄色のサーブ・コンバーティブルに乗ってて 家福は助手席に乗りながら 癌で亡くなった妻のことを回想し そして妻と関係を持ったある男のことを思い出す 妻の死後に関係を知ってて 友達付合いを始めるってどうなの 妻がどうして関係を持ったのかを知ってもしょうがないじゃないはじめて村上春樹さんの作品を読みました。とても読みやすかったです。話題だから読みました。短編集だが、映画はどんな感じで描かれているのか気になる。結局、なぜ妻は他の男性とねたのか、、 謎は解決されたのでしょうか。。昔読んだはずだけど、アカデミー騒ぎで騒がれてどんな話だったっけ?と読み返した。この話で一本の映画を撮ったってすごいな。死んだ妻が薄っぺらい男と寝てたのが謎で納得いかないが、よくわからないけど妻にはそれが必要だったんだね…って。それは妻も薄っぺらい人間だったってことではなくて、他に止むに止まれぬ事情があったってこと?薄っぺらい男と寝ることでしか鎮められないものってあるか?サッパリ分からないのは、わたしが幼稚だからなのでしょうか…。村上春樹のセクスが絡んだ話は苦手なのです。映画を観る前に購読。映画は「ドライブ~」「シェエラザード」「木野」を融合したような話でしたな。「女のいない男たち」はひどく抽象度が高く、「木野」は純文学っぽいテイストだった。「ドライブ~」は原作に忠実に、90分くらいの映画にしてもそれはそれでよかった気はする。「イエスタデイ」村上作品にしては珍しく関西弁が出てきた(東京出身者が流暢な関西弁を話す、というキャラだったけど)。「シェエラザード」の男(羽原)はなぜ「ハウス」から出ないのだろうとか、短編とはいえ不明点多し。「女のいない」というか「いなくなった」では『独立器官』が1番好きだった。 女の人(彼女や妻)を失った(別れてしまった?)男の人達の話。 誰かを失うと深く傷つくが、強がって傷ついていないふりをしてしまうこともある。しかし、然るべき時に傷ついておけば免疫がつく。然るべき時に傷ついておかないと、その傷は後になってもっと深い傷になって自分に降り掛かってくる。 大切なパートナーや愛する人を失い、傷つきながらも、人は乗り越えて強く生きていかなければならない。 愛する人を手に入れた時から、既に終わりの方を考えてしまう。 切ない。「音楽で言えば『コンセプトアルバム』に対応する」短篇集。「女のいない男たち」というモチーフで「様々な角度から立体的に眺め、検証し、いろんな人物をいろんな人称をつかって書いた」もので、書下ろしの表題作を含む6篇。どの主人公にも共通するのは、向き合わない、逃げている、つまり『木野』にある「おれは傷つくべきときに、十分に傷つかなかったんだ」かなと思った。6篇ともそれぞれに印象的でどれも面白かった。天国での私のBGMは「エレベーター音楽」ではないなあ、たぶん。観て、原作が読みたくて購入。複数の短編をネタに全く違う話に。この短編集では、現実と齟齬をきたした男が、社会から逃げ出す話。今と相手と自分に向き合うことを求める。1話目の家福、妻の浮気を咎める機会を失い立ち止まる。2話目の木樽、唯一の彼女に浮気を勧め、現実化すると脱走。3話目の渡会、名うての女たらしが、崇徳院の若旦那化。4話目の羽原、世間から身を隠し、ヤツメウナギになる。5話目の木野、離婚から目を背け、何故か逃亡の身。「女のいない男たち」の僕、もとカノの自死の知らせに悶々