赤と青とエスキース。構成の美しさに感動した。 最初から最後まで、美しくつながっていた。 青山美智子さんの作品は本当に外れがない。

期待どおりの面白さ。著者らしい優しい物語でした。赤と青とエスキース、タイトルが秀逸です。ラスト、予想外の繋がりに鳥肌が立ちました!最後の怒涛の伏線回収!お見事でした。 映画化(映像化)は伏線がはれないから、ないだろうなー。若手画家が描いた1枚の絵画が、長い時間を経て何人かの人生を動かすきっかけとなっていく……と書くと何だかとっつき辛そうだけど、文体も設定もサラッと優しくてとても読みやすい!一つの絵画を巡る4つの連作短編。1つ目と4つ目は同一人物だろうなまでは考えていたが、2つ目と3つ目にも登場していたとは。エピローグを読むと全てが繋がる。特に2つ目の短編、主人公がエスキートの額縁を製作する話が好きだった。100年先も絵が残るような、そして夢が夢を超えることもあるのかもしれない。 もう少し毒気と粘り気がある方が好みだし、まとめ方が綺麗過ぎてちょっと笑っちゃうぐらいなんだけど、素直に良いお話だなあとじんわり思える素敵な連作短編集でした。図書館本。エスキースと言う1枚の絵で繋がっている連作短編かと思いきや、1組の男女の愛の話でした。なんとなく「冷静と情熱のあいだ」を思い出した。お探し物〜よりも私はこちらのが好みかな。連作短編という構成は同じだが、苦味と深み、コクが増したと思う。対象年齢が上がったというか。上質なミステリーのような仕掛けも面白かった。 生きていれば、良い時も悪い時も体調が優れない時もありますね。「東京タワーとアーツセンター」の熱い感じが好きでした。「トマトジュースとバタフライピー」の師弟関係も良い。剣さんの一生懸命な感じだけど、格好つけたくなるの分かります。でもバレてるもんだよね。何より装丁がオシャレ赤鬼と青鬼の話が好き。エピローグで、あぁ、それがそこにつながるのね、なるほどね、とスッキリ。前評判やら帯の煽りやらで期待値が高すぎたせいで却って肩透かし。ワーホリの女の子がチェーンスモーカーだと言う事だけで一話目がかなり昔の話だってことは想像できたから(今のオーストラリアでは煙草一箱2千円するからとてもこんなにカパカパは吸えない)、その後のことは丸ごと想定内。ジャクソンが21歳の時から10年ごとに四話続くわけだ。この名前もポロックを連想させるよなあ。オージー訛りだとBLUEがブーでREDがレイになるのか、なるほど。それでも綺麗に纏まって仕掛けも阿漕ではなくいい印象のままに読了できた装丁に惹かれて購入。そういうことかー!となったけど、日頃内省的なものばかり読んでいるからなのか、イベントを追うような読み方になってしまって反省。再読する。何度もグッと胸に押し寄せる其々の熱い想いに涙ぐまされた。実際に見た訳では無いのに、飾られた絵が目の前に見えるようで素晴らしい表現力だなと感動。一枚の絵が繋ぐ物語。レイとブー(茜と蒼)がずっと登場していたのは気づかなかった。赤鬼と青鬼の女性はレイだろうと思っていたけど。金魚とカワセミで印象悪かったユリさん、別人ぽかった。 芸術っていい。音楽にしろ絵画や彫刻にしろ、作者はいなくても作品はずっと残る。 作品がある限りもうこの世にない作者が息しているみたい。赤と青とエスキース、想像していた以上に意味の詰まったタイトル。二度読み必死に大納得。今まで気に留めていなかった額職人の「存在」を知りたいと思えた作品でもあった。ああ、いい小説だ。時間軸のズレとあだ名と名前で読み手の想像力を試される一冊。若き日の異国での寂しさ無力さが30年後にグッと効いてくる。そしてはたと気付く。青赤ともに私と同い年。後半の怒濤の伏線回収の興奮に浸りながらも、読後の何とも言えない充足感と喪失感。50歳は、天が自分に与えた使命を悟った「知命(ちめい)」というらしい。悟るにはまだまだ。未だエスキースの途中。面白かった!今まで読んだ青山さんの作品とはまた違う感じで読み終わってまた初めから見直す感じ。新たな発見にひとりで満足感を味わう。題名の意味さえ知らずに読んだので本当に楽しめた。予備知識なしで読むのがオススメ。登場人物が皆、愛しい。オーストリア在住のブーと留学で訪れたレイの期限付きの恋。感情をコントロールできたら誰も苦労しないんですよ…からの30年に渡るふたりの物語が始まってたなんて!帯の二度読み必至は間違いなく、赤と青ってそういうこと?え、これもそうじゃん、レイとブーがこんなところに!って最終章での怒涛の伏線回収はお見事!一回読んでもう一度読み返す本は久しぶり。エピローグがジャック視点でぐっとくる。無事に旅が終わったんだね。 青山さんは短編のほっこり系のイメージだけど長編すごく良かった。これは単行本で残しておきたい。オーストラリアの青年画家が描いたエスキースにまつわる話。モデルとなった日本人留学生のその後に大きな影響を与えています。このエスキースが描かれた過程を読むと、画家としての個性を確立するきっかけとなる技術が使われていて、その分だけ思い入れの強い作品なんだなと思います。額縁の世界に触れられたのも良かったです。面白かった。青山美智子さん読破中。最後の一冊で2022年時点の最新刊を読みました。 絵、オーストラリアなどの共通点はありつつも、今までの青山さんとはテイストが違う感じでした。文章構造が面白い1冊だった。どの章も、〇〇と△△そして××、といった作り方で生命力(生きようとする力)について語られていく。プロローグを正直に読めば、第2章と第3章は「エスキース」がジャックにしかわからない言葉で語っていると捉えても良さそう。特に第2章では作品としての片翼をなす額縁がテーマなので、それだけアツくて「エスキース」にとっても大事な話だったんだろうな。赤の空知と青のジャックを結びつけて作品を完成に導くのが村崎(紫)さんなのも納得できる。こういう仕掛けみたいなものを楽しみながらじっくり読める1冊。あの二人はこの二人で、そして例の二人なのね。読み終わった瞬間、もう一度さかのぼりたくなります。でもこのくらいの余韻がいいのかも。面白かった!青山美智子さんの作品は本当に外れがない。 バラバラの話が、1枚の絵「赤と青のエスキース」によって繋がり、作者ジャック・ジャクソンの年齢によって時間の経過が分かる。20歳、30歳、40歳、50歳。 と思っていたらプロローグで全部が見事に繋がる。 30歳で円城寺画廊の二人、40歳では喫茶カドルのマスター、50歳でユリさんがオーナーの輸入雑貨リリアルで働くレイと元恋人。 赤redのレイこと立花茜と青blue のブーこと円城寺蒼の物語。人生100年時代、50歳の茜と蒼の物語はこれからも続く。うん。なるほど。最後のエピローグを読んでそれ以前の章の仕掛けに気づく。この本は1枚の絵を通してある一組のカップルの30年が描いている。読み手が異なるから気づかないかもしれないが、全ての章に2人が関わっていた事に驚いた。少し斬新だと思ったが、青山先生らしい繋がりを大事にした作風は変わらない。一枚の絵が色々な人生の場面に立ち会う話かと思っていたら、最後の仕掛けに気付いたところで(いい意味で)鳥肌たちそうになった。章タイトルが毎回赤と青の対比なのもあとから気付いた。男性向け情報誌DAPの乃木さんって、『鎌倉うずまき案内所』の…!恋人男女とエスキースをめぐる5つの連作短編集。メルボルンでの二人の期限付き切ない恋物語「金魚とカワセミ」。絵をさらに生かすための額縁職人の心意気に触れた「東京タワーとアーツ・センター」。努力家漫画家師匠と天才弟子との心の交流「トマトジュースとバタフライピー」。ストレスで動悸の発作を抱える50歳レイと穏やかなプー「青鬼と赤鬼」。30年を経て、二人が一緒になり、エスキースを巡っての作家ジャックとの交流「エピローグ」。これは、学生時代から50代までのレイ(茜)とプー(蒼)と共に生きたエスキース(下絵)の話だ。構成の美しさに感動した。 一貫したテーマがエスキースの絵である、ということにとらわれて、最後の主人公がレイである、ということに気づかせないトリックにまんまとはまるし、その場面や台詞も印象的なせいでより一層の驚きと感動だった。 ひとつひとつの短編の完成度が高い、きちんと作品になっていることが何よりも素晴らしい。 赤と青という色彩の美しさ、エスキースという言葉の持つ意味と作品中での役割と重要性、ブーとレイの関係性への踏み込み、そして読みやすさからみんなが好きになるのも納得の作品でした。いい本を読めたなあという満足感でいっぱい。1章は、メルボルンでの期間限定の恋人ブーとレイの物語。各章が《エスキース》の絵画と縁ある人の連作短編集。2章の額縁職人と3章の漫画家、それぞれの師匠と弟子がお互いを思いやる言葉がとても心地よく、4章も主人公に心寄せながら読んでいたら、終盤仕掛けが明らかになり驚いた。長い年月をかけて紡がれていた奇跡の物語だった。《エスキース》から次に始める《本番》にはどんな未来が描かれるか楽しみだ。赤と青を、モチーフにした題名はじめ、様々な名前、人名はとっても楽しかった。表紙も素敵。読みやすくてオシャレ。読後温かい気持ちになれる。 一つの絵を背景に、色々な人の暮らしや葛藤、光も見せてくれて最後のああそうかのはらおち感! 各話の登場人物も身近で親近感があり、それぞれの環境で頑張って生きているのがいい。 人生は一度しかないと考えたら怖くて思いっきりなんてやれないけど、人生は何度でもあると思ったらどこからでも、どんなふうにでも新しく始められる。 だけどそれを経験する体は一つだから、なるべく長持ちさせる。 時には生き延びること、ただそれだけでいい。 自分も世の中も常に変わっていくから。

あきない世傳 金と銀。浅草太物仲間は大阪や江戸で酷く苦しめられた呉服仲間と違い本当に懐の深い人たちだ

浅草太物商との協力体制が、しっかり固まる。火事に見舞われつつ、幸と五鈴屋は大きな災難とはならかった。一方、音羽屋に嫁いだ結の所は、大打撃となるが、五鈴屋潰しに拍車をかける。五屋の技を盗み歌舞伎役者を使い浴衣を売り出したり、綿の買い占めを行ったり。が、幸達太巻商は、協力しあって乗り切る。そして、毎年創業日の売出に来てくれるご夫婦の正体は、相撲の興行主とわかる。そして、幸に力士達への浴衣を注文してくれる。 まさしく、コンサートの物販。400年経っても、商売の根っこは変わらない。あー、次が楽しみ。浴衣を一時の流行りで終わらせないため技を伝授して、浅草太物仲間との絆を深める。毎年1回必ず来るお客様との絆を大事にしていたら、大きな依頼があった。小さなトラブルはあっても、店主は悠然としていて揺るがない。絆を大事にすること、誠実に商いをすることで着実に…という流れ。前巻と似た流れですね。そろそろ波乱も来るかな? 浅草太物仲間が呉服も扱えるように変化していけるかも…ということで、しばらくぶりの呉服商いも再開?浅草太物仲間、スゴイ決断!その発想は、やはり五鈴屋が己のことだけを考えるのではなく、太物をみんなで広げて行こう、みんなで商いを続けていこうという心がけが通じたればこそ。素晴らしい。今回はお相撲が絡んだのも嬉しかった。あのお方がまさかの。ずーっと以前からチラホラ出てくるだけだったけど、なんか意味深だった。ここまで引っ張っる伏線だったとは。驚きました。さて、話戻って。呉服太物仲間としてお上は認めてくれるだろうか。楽しみです。火事とかの天災の辛さはあったけど、人の裏切りとかそういう暗い話があまりない巻でよかった。力士と浴衣、いつ繋がるのかと思っていたらようやく。年に一度来るご夫婦の素性も分かってすっきり。浅草太物仲間から浅草呉服太物仲間へ、という申し出。情けは人の為ならず、的な?ちょっと違うか。ショッキングな状態での終わり方でなくこういう前向きな変化のわくわくでいつも終わってほしい。今巻は『和を以て貴しと為す』浅草太物仲間との協力体制で臨んだ浴衣販売は、一人では成し得ない仲間がいるこその喜び。呉服太物仲間へ書き換え案には涙が出ました。いつものご夫婦も判明。綿に縁があるなら在所の大地主?でもオシャレだし地方の大店?と考えたのですが当たりません(笑)惣二の存在も大きかった。音羽屋の憎し恋しも生きていればこそ。菊枝との相性も良さそうです。鈴簪が粋なお披露目でしたね。一度沸いて静まり、踊る鈴と絹ずれの音だけが響く舞台を想像すると鳥肌が立ちます。次は出帆編。呉服も商う五鈴屋の行く末や如何に。おもしろかった!ヒロインだけど幸はあまり好きじゃないけど、逆境を真っ当に乗り越えていくのを見るのはおもしろい。菊栄は好き。 賢輔が花火の時に幸の腕をとったり、火事の時に濡らした風呂敷で幸を包んだりと幸を守るところにキュンとした。お梅は結婚できたけど、お竹はこのまま一生独身なのかな。お竹にも春が訪れるといいな。11巻は火事が多くて悲しみが降りかかりましたが、五鈴屋の商売は順調。力士の名前を入れた浴衣は壮観なんだろうなあ。 そしてラストは遂に呉服を扱えるようになりそうな。。。うるうるしてしまった。全ては幸の誠実な商売のやり方によるもの。それに答える浅草太物仲間も素晴らしい。もう11巻!まずは幸先よくお梅どんの婚礼からはじまっておめでたい。この巻は全体としては何度も大火事見舞われる江戸で辛い事も多かったけれど、幸の器の大きさを何度も感じさせられて涙が…。江戸時代のお相撲は女性は観戦さえもできなかったとは知らなかった。商売以外にも本当に勉強になります。湯屋への往復にと浴衣を大いに流行らせた五十鈴屋。順調に商いが進んでゆくと思われた先の大火事。昔の家は木と紙。燃えにくい漆喰が推奨されていたが普及はまだまだ。橋は木。橋が燃え逃げ場を失った人達の阿鼻叫喚は想像を絶する。しかしここまで来ると、不幸が押し寄せ続けるのも飽きてしまった。そこを立ち上がる所が素晴らしいのだろうが。一年に一度買いに訪れる夫婦の夫が勧進相撲の旗本だとは。長年の正直な商いが実を結び、新たな発展を得る。妹・結は地に落ちたな。最終巻では結とはどういう結末になるのか?そこは楽しみだ。お梅どんのお嫁入りから始まる本巻は嬉しいことが多くワクワクしながら読めました。芝居に相撲というエピソードも活気のあるものでした。また横槍が入るのではないかと最後まで気が抜けませんでしたが、幸の尊い志で深まる太物仲間たちの絆とそこから見えた希望の光に五鈴屋の悲願が叶う日が近いのでは!そんな期待で涙しつつ読み終われました。次の巻も楽しみです!シリーズ第11弾。江戸時代の風俗も楽しみながら、仕事に邁進する幸たちを応援する。真っ当に生きてたら神仏は見捨てないと言う真っ直ぐな気持ちが、眩しい。現実的ではないという考えもあるだろうが、浮世は辛いからこそ小説では上手くいってほしいと思う。今回のトピックは勧進相撲。江戸時代は女性が相撲を見ることも出来なかったのは初めて知った。神事だから伝統だからと、女性知事を土俵に上げなかったり、ちびっ子相撲で女の子を土俵に上げなかったりと差別的なところは今も変わりません。(相撲好きな方、ごめんなさい。)浅草太物仲間のお店に惜しみなく技術と知恵をわける幸。太っ腹すぎる気もしますが、結果的には客を分け合い、利益を分け合い、地域として発展していきます。火事の後の火の用心の柄、力士の名前を浴衣に入れるというアイディア、図案を考える賢輔さんもすごいな。原材料の産地や職人さんの地位向上の大切さ、現代の仕事にも通じる理念だと感じるけど、余裕がないとなかなか難しいだろうな。菊栄さんのかんざしもめどが立ちそうでよかった。お梅どんも幸せそう。幸も幸せになってほしい。時代小説を読むと火事が如何に恐ろしい災害だったかが伝わる。幸の生きた時代にも…復興が進んで街並みは移り変わっても、変わらないものは幸たちの商いへの姿勢。私腹を肥やすことではなく、人から求められ永く愛されるものを作り出すこと。一丸となり邁進する五鈴屋の在り方に、同じ働く人間として背筋が伸びる思いです。結の様変わりには切ないものも感じつつ、年に一度のお得意様(力士OBだったとは!)のように、一人、また一人と、得難い人の繋がりがまるで滑らかに広がる鈴の柄の風呂敷のようで、爽快な読後感。次巻も楽しみです今回は太物仲間と協力して、力士たちの浴衣を作って売り出す。五鈴屋の知恵を惜しみなく提供する幸は素晴らしい。そうそうお梅も所帯をもった。テレビもインターネットもない時代、どうやって情報を伝えるのかと思ったが、街中を練り歩いて相撲の初日を知らせるのね。あとは口伝で。なるほど。浴衣を長く続く商品にするため、仲間たちと協力して取り組む巻。利を自分だけでなく、分け与えることで、より大きな利益が返ってくる。理屈は分かるけど、なかなかできることではないよなぁ。そして、江戸は本当に火事が多い。羽州ぼろ組も並行して読んでいるので、江戸の暮らしが見えてきて楽しい。相撲もとても人気のある庶民の娯楽だったんだろうな。江戸の五鈴屋、創業8〜9年目の話。相変わらず商売敵の音羽屋や大火事に振り回され、危機が続く五鈴屋だが、抜群の安定感を持って切り抜ける。もはや、読者が焦ることもない。 この巻では、浴衣を相撲興行で着てもらうため、幸たちが浅草の太物仲間と手を取り合って躍進する。浅草太物仲間は、大阪や江戸で酷く苦しめられた呉服仲間と違い、本当に懐の深い人たちだ。太物仲間の提案で、江戸の近くの綿の産地に投資する話、五鈴屋が呉服を再び扱えるようにする話が持ち上がり、次巻以降ますます話が盛り上がるか!?こにきて大火が広がるとは思わなかった。当時の火事は今と違って、少しのところから大きく広がっていくんだと改めて思わされた。この火事を経験しながらも、今自分たちには何ができるかを考えて動く幸の姿勢が立派だと感じた。物語に出てきた力士たちの浴衣は今もあるのかと気になったし、現代のスポーツのユニフォーム販売みたいなのも思い起こされた。物語のラストはいよいよ呉服が始められるということかな?次回への期待が高まった。

夜のピクニック。昔ながらのThe高校生の日常という感じだった。 父の不倫によって同級生に血の繋がった兄妹が居るため2人の仲は気まずく

作家さん初読み。第2回本屋大賞ですか。読み易く一気読みでした。携帯もスマホもない時代に大人になった世代としては、懐かしい青春時代を思い出し、、とは思うけど、そうじゃない世代の人たちにはどう映るんだろう?NTTは自宅が勤務地と言い、ググればSNSで生い立ちとかわかり、アメリカだろうが歩行祭にリモート参加出来る世の中。夜通し歩くイベントはあれど、コミュニケーションレベルは全く違うよな。と。 最近、ちょくちょく一昔前の名作を読むと、そんなことを思ってしまう。世代によって伝わり方は違うのは当たり前だけど。。最高に良かった。それしか出てこない。夜を歩く高校生達のお話し。ただそれだけなのに、こんなにもドラマチックに感じるのは何故なのか。登場人物が皆んな魅力的で、その内面を丁寧に心地よく描写してくれてるおかげなのだろう。疲労感と特別感がもたらす本音であったり内面であったりの嘘の無い素の姿が途轍もなく魅力的に見える。人それぞれ考えがあって、やっぱり話しをしなければ分かり合えない繋がれないのだと、でも話してみれば意外と構えてた程の事は無いのだと、そう教えてくれた気がする。当たり前が一番素晴らしいのかもね、知らんけど。読み始めは青春の爽やかな少年少女のお話なのかなと思ったけど、彼らの身に起きていることは爽やかでも何でもなく大人びていて、考え方もしっかりしていて、自分が高校3年生のときはこんなにしっかり物事と向き合うことができていたのかな?と思いました。 歩行祭という行事を通してそれぞれの抱える問題に向き合う姿が、本人たちは大変だったと思うけど、キラキラしていてとてもいいなと思いました。 高校3年生という、子供と大人の間の期間しか抱けないような貴重な特別な感情が描かれていて、すごいなぁと思いました。読めてよかった。歩行祭という奇天烈な学校行事で繰り広げられる高校生たちの人間ドラマを描いた青春小説。途中2時間の睡眠はあるものの、24時間歩きっぱなしって、相当過酷な行事だなと思う。今は体罰だなんだとうるさい時代だからこんな行事がある学校はないと思うが、実際やったら面白そうだなとも思った。内堀亮子が「高校時代の恋人」というアルバムの写真を残すために付き合おうとすることに嫌悪感を抱く西脇融の感情には共感を覚えた。自分も、もしそういう思い出作りとか何だかの打算的な意図だけで人付き合いをするような人がいたらなんか嫌だなと思う。長編よろしく、著書は長い道のりを読者も連れて歩いていく。ノスタルジックな時代へ思いは飛び、懐かしい顔が浮かんでくる。果たして、自分達はこんなに大人びていただろうか。その、友を思いやる登場人物達に、気持ちの良さを感じる。だから結末はハッピーであって欲しいと、佳境に入って行くと願わずにはいられない。そして期待を裏切らない幸福感をくれる。「歩行祭」という学校行事だからこそ語られる事、友達と過ごすこの時間は、きっとこれからの彼らの人生を支えてくれるのだろう。羨ましさと共に、この著書が秀作であることを確認する。高校生がひたすら歩くだけなのにとても面白く、読破後には温かい気持ちになる本だった。普段夜まで一緒にいることのない高校の友人と一緒に過ごした夜というのは特別感と高揚感があるのはすごく共感できる。途中の話題で高校の間、特に受験期に恋人を作ることについてを思い出作り、記念品と表現してたが僕も無理して思い出を作ろうとしていた節があったので心が傷んだ。高校生の内に読んでおきたかった高校生活最後の歩行祭。その歩行祭で異母兄弟の貴子と融の心の成長を描く青春本。 とっても青春していて羨ましいくらいだった。周りの友人達もみな大人びていて良い子たちばかり。淡々と話が進んでいき、とても読みやすい。読後はとても爽やかな気分になれる本。 唯一、貴子の母親の行動はちょっとどうかな?と思う。相手の子の立場もあるのだから友人に秘密を打ち明けることはすべきではないと思う。葬式にものこのこいってるし、貴子の母はこの本を読んだだけだととても非常識で自分勝手な人だと思った。タイトルをみて、あらすじを確認せずに購入した。実際読んでみてこういう時代は、かけがえのないものだと年をとって改めて感じている。夜通し歩き続ける行事が高校時代にあったら嫌だったと思うけど、こういう行事の方が修学旅行とかよりも記憶に残るというのは確かだと思う。きつくて大変だったとしても、なにか達成感がある出来事の方が想い出として色濃く残っている。この行事はまさにそうだろうなと思う。貴子と融の距離もこの行事がなかったら一生近づかなかっただろう。物語のテンポがよくて一気に読むことが出来た。この著者は初めて。面白くて一気に読み。歩行祭か〜。私は普通に修学旅行でしたが、実際に歩行祭がある学校ってあるんですかね?たしかに細かにスケジューリングされた修学旅行とは違い、みんなで一つの目標に向かって団体行動することでクラスメイトや親友と一体感が生まれたり、体を酷使する極限状態で自分自身を見つめ直したり、多感な高校生時代にこういうイベントがあるのもいいですね。私自身も彼らと歩行祭に参加し融と貴子を見守っているような気持ちでした。それにしてもスタンフォードの杏奈ちゃん恐るべし笑貴子と融の視点を交互に行き来しながら、歩行祭は進んでいく。街って、死って、人生ってなんだろうと歩きながらぼんやり考えるなんてモラトリアム感満載。ただ(本当に個人的な感想としては)貴子の設定に少し引っ掛かりを感じたりして……、学生時代に読んでいればまた違った感想を持ったかもしれない。な、ながい…。蜜蜂と遠雷と同じ感想だが、歩行祭という一つのイベントでこれだけのボリュームを書けるなんてすごいと思う。ただ、蜜蜂と遠雷と異なり、終盤まではなかなか読むペースが上がらなかった。というのも、物語の核はほぼ一つ、異母兄弟である2人が気まずさを持っているというもののみで、他の部分は本当にとりとめもないことのように感じたからだ。2人が打ち解ける場面には少しうるっと来たが、もういくつか核となるものがあっても良かったのではないかと感じた。カラッとした爽やかな青春小説。学校行事でくたくたなのに特別な夜の空気が懐かしい!心の動きと重なる風景描写、特に夜明けが印象的だった。読むのは二冊目の作家さんだけど、他も読んでみたいな。主人公は、同じクラスの高三の男女。異母兄弟である二人は、お互いを強烈に意識をしているが、口をきいたことが無い。 高校生活最後のイベント、夜八時にスタートして夜通し歩いて朝ゴールする歩行祭。歩きながら二人は距離を縮める。 最初は登場人物がちょっと多くで誰が誰だかってなってしまったけれど、おもしろくて一気に読めた。 特別な出来事が起きるわけではなく、ただただ高校生が歩いているだけ。私が高校生の頃にも、30キロくらい歩く、強歩大会という似たようなイベントがあったので、その時のことを懐かしく思い出しながら読めた。高校生たちが80kmを歩く「歩行祭」という行事が舞台。 主人公の融と貴子は異母きょうだいで、父親の不倫で生まれた同級生である複雑な関係。 だからこそ、お互いが相手を想うあまり、 (近くなりたいけど、でも今じゃない。きっとあの人は私を嫌っている。) と色んな感情が絡まり捻じれ、距離を広げざる得なかった。 それが、「歩行祭」で感情も言葉も全てが真っ裸になった状況を機に、本当に少しずつ二人の心が開放されていく。 風景描写も相まって、二人の心情変化が本当に気持ち良く、非常に爽やかな読了感が味わえました。夜通し歩く歩行祭。距離は40kmほどだが私が高校の時にもあった笑 読みながら疲労の感覚が鮮明に思い出されて自分の経験と合わさって懐かしかった。物語としては、ただ歩くだけの1日の中に、異父兄弟の2人の成長や、個性がはっきりしていて魅力的な友達との関係、恋愛等の青春があり、何か大きな事件が起きるわけでもないのに面白かった。冒頭の晴れた日は当たり前ではないという下りから、貴子が融が忍のような存在などを当たり前に思っているのではないか、という部分が、自分も周りの環境を当たり前と思っているなーと感じて反省した。

自由研究には向かない殺人。主人公ピップがとても賢く観察力推理力に優れていて魅力的でした。また彼女の優しさ物事を常に平等に

自由研究で5年前の少女失踪事件を調べる事になったピップ。その事件で犯人とされ自殺したサル。この事件を調べれば調べるほどサルが無実だったのではという疑問が芽生えてきます。サルの弟ラヴィと一緒に調査をする事になるけど、2人の調査方法が現代的で面白かった。クラウドにバックアップをとったりSNSの鍵を解除したり現代ならではの方法ですよね。基本関係者への聞き取りがメインですが、ここぞという時には大胆な行動をとるからドキドキしました。犯人は最後までわからなかったし、最後にもうひと山あったのが良かった。続編にも期待。主人公の正義感は多くの人の共感をよぶと思うし、彼女の捜査を応援したくなります。小さなコミュニティの中で、知り合いの秘密の顔が次々に明らかになっていくのも象徴的で面白いです。ただ文学的要素は少なく、謎解きへ興味だけに引っ張られて読んでいたので、展開がまどろっこしく感じてしまいました。。。後半にかけてめちゃくちゃ面白くなる…! ラヴィがとにかくかっこいい。 タッパーでチキンカレー持ってくるシーンが本当に素敵。これがデビュー作とは。二転三転する展開に振り回された。どいつもこいつも怪しいのよ。ピップが結構危ない橋を渡るのでその度にヒヤヒヤした。事件の決着も納得だし小説としては面白かったけど、罪を犯した人間はみんな償うべきかもしれない。ピップが同情出来るかどうかで判断したらダメよ。とはいえ好きな作品です。ラヴィとのコンビも良かったし、続編にも期待。高校生のヒップが自由研究で、17歳少女の失踪事件を調べるお話。ヒップにとってヒーローのような存在だったサルが殺人の罪を期せられたのは何故か。真犯人は誰なのか。ヒップはサルの弟ラヴィと共に真実を知るために奮闘します。ヒップは行動力あり過ぎて危なっかしくてハラハラしましたが、楽しく読みました。読み始めは、少し読み難く感じましたが、少し進むとあっという間でした。翻訳小説に苦手意識があったがこれはスルスル読了。行動力のあるが故に少し危なっかしい主人公ピップの行動のその先が気になるのと、中盤に登場する脅迫状によりそれまで場当たり的に調査していた冒険譚のような雰囲気がガラリと変わり緊迫感のある様相になるので飽きずに読めたからだと思う。解決編ではついに犯人が…⁈と思ったのにまだその先があって…⁈と最後までドキドキハラハラさせてもらった。続編も絶対読む。読みやすかったので同じ方に翻訳してほしい…!大切な人であるサルを喪ったピップとラヴィだが互いに大切な親友を得たと思う。なんだ?この爽やかさは、晴れ晴れした気分は。一冊の本から思いがけないプレゼントを貰えた気分。主人公ピッパの突き抜けた心の強さ・好奇心・無謀とも言える勇気・フェアネス精神。その家族も最高で、正しく全うな家族のかたちがある。サルの母親が発した言葉には涙してしまった。最後に残った謎の解答は悲しいものだったが、著者はピッパとカーラの関係にも救いを著して記してくれていた。至れり尽くせりである。人を信じること、またその人を信じた自分を信じる力を私も持ちたい。面白かった!図書館本。主人公ピップが自分の住んでいる町で起きた女生徒失踪とその彼氏が自殺した事件を学校の自由研究でテーマに取り上げ真相を暴いていく。被害者の家族や親友など巻き込んで、取材形式で物語は進んでいく。ただ話の中に人種差別やドラッグ問題など絡んでおり日本とは違う環境下であると知らされました。面白かった。途中何度もピッパ、無茶するな!と保護者目線になるくらい主人公が行動力!の人だった。カーラとナオミのその後が心配なんだが続編で触れられるといいな。ピップが大胆を通り越して無謀なほどの行動力で事件を解決。ミステリーというより冒険小説に近い作品。スリルたっぷりのストーリーとテンポの速さのおかげで、読むのに時間はかからなかった。こんなに読みやすい翻訳小説読むのいつぶりだろう… 翻訳された服部京子さんには色んな海外小説をどんどん手がけて欲しい!!ホントに面白かった。 主人公のピップの底抜けの明るさや行動力にグイグイ引っ張られて読み進めた。途中でピップの無邪気にも見える捜査が進んでいく中で、こんなに明るいまま殺人事件を追い続けることはないだろうな、どこかでピップが大切にしているものを失って、それを乗り越える展開があるだろうなと思っていたら、やっぱり起きてしまった。特にピップとラヴィのやり取りは永遠に続いて欲しいくらいに楽しい。本屋大賞2022翻訳部門第2位。登場人物が多いので大変でしたが、中盤からは一気読み。高校の自由研究で地元の殺人事件を扱うという設定のおかげで、警察や探偵が追うミステリーとは違う雰囲気になっています。関係者にインタビューするごとに真相に近づいて行く展開が、わかりやすくて読みやすい。ちゃんとラストまで真相を引っ張ってくれました。事件解決で終わりじゃなく、報道のあり方や、差別、偽善、色々突き付けてる所もよかった。唯一モヤモヤする点。ひき逃げの被害者だけ可哀想じゃない?犯人に責任問えないままなんて。5年前に起きた少女の失踪事件を自由研究で調べることにした高校生のピップ。交際相手の少年が彼女を殺した後に自殺したとされていたのだが...創元推理文庫のYA小説は個人的には楽しめないものが多かったのですが本書はかなりリーダビリティも高く、且つ二転三転するひねりも効いていてサクサクと読了できました。恣意的に真実を語らない証言者や何者かの脅迫文も届き「自由研究」が頓挫しそうになっても「真犯人を見つける」というピップの直向きな想い。自分が忘れてしまった「純粋さ」をふと思い出させてくれた...そんな作品でした。読みやすかった。インタビューは対話方式で書かれているため重要な部分が読み取りやすく、冗談を交えながら主人公たちは会話をするため雰囲気として暗くなり過ぎないのが良かった。深夜の洋ドラ見ているように何もわからなくても途中からでも十分に楽しめると個人的には思う。ミステリというと不幸が数珠つなぎになっているようなストーリーばかり読んでいたが、明るく締められていてよかった。自由研究に近所の五年前の知り合いの殺人を取り扱う青春もの?分厚いが読みやすい。結構な行動力でサルの無実を突き止めるがこれ犯人が今も余計な行動してなければ真犯人まではたどり着けなかったな。PCや携帯の使い方はうまい。真面目で賢い女子高生ピップが、自由研究として5年前の失踪事件の解明に取り組む。ピップの書いた地図やメールのやりとり、手帳のメモなどが要所要所で挟み込まれて読みやすい。事件も二転三転して最後まで飽きない。しかし、こんなに賢いピップが、キャンプの寝袋と学校のロッカーに脅迫状を入れられるのはとんでもなく身近な人物やと分からへんなんて…。高校生のピップは、5年前に自分の町で起きた殺人事件を自由研究の題材にする。行方不明になったアンディの殺人者はボーイフレンドのサムだったと警察は公表したが、ピップはそれを疑う。真相が結びついていくにつれ、未詳人物からの脅迫も過激になってくる。ピップは賢くて勇敢な少女だと思う。一方で、責任を背負いすぎている。犯人はあの人かな?それともこの人かな?と推理しながら読んでいたが、展開が早くて複雑で、頭の中は常にフル回転だった。おもしろい読書時間だった。面白かったがYA物っぽい。ラビィとの進展の遅さとか、やたら親友が出てくるところとか。私は特に根拠なくエリオット先生ではないかと思ってました。「印刷イメージを保存」にチェックしてのは、ワード家だけだったので、あとで使わないと無駄な伏線になってしまう。しかし人のプライバシーについてはどう思ってるのか感あり。リトル・キルトンってどこにある設定なんだろう。まあ南だろうな。リトル・キルトンにあるグラマースクールに通う17歳のピッパ。彼女は自由研究で五年前この町で起きた当時17歳の少女アンディの失踪事件を取り上げ、犯人とされ自殺したサルの無罪を証明するため関係者達にインタビューを行っていく。殺人者の弟とされ世間から中傷を受けたラヴィと共に探っていくが…。容疑者と上がってくるのはピッパ自身とも交流がある人たちも。ハラハラする展開に止まらない。犯人の動機は、許されないけどそれに至るまでの理由を知ると辛く苦しい。けどピッパが調べたことでラヴィの家族は救われたんだな。続編読みたい!

珈琲店タレーランの事件簿 7 悲しみの底に角砂糖を沈めて。あとがきで今年でタレーランが10周年と知り時の重みを感じております

久しぶりのタレーラン。珍しくお店を訪れた人の謎を解明するタイプの短編集なのだなと、普通のミステリとして楽しみましたが、あとがきを読んで、いろんなことを回収してもらえて満足です。名前が似ているのは意図的であること、実際の大会での辻村さんとのやり取りを聞かせて貰えたのも嬉しい、実際の話を元にした話が含まれていること。後ろの方で目にした前巻のサブタイトルが、コーヒーカップいっぱいの愛だったのに対して、今回の悲しみが対比のようにも思えて、余韻に浸りました。次巻にも期待します。今作はショート作品を含めた7つの謎を純喫茶タレーランの切間美星が解決する。シリーズ第7作品の短編集。前作で良い感じで終わったのでラストだと思ったけれどこれは番外編という感じなのかなあ。藻川又次はすっかり元気そうでなによりシャム猫のシャルルもいて何よりです。今回は全国高校ビブリオバトルにて抽選番号が細工された謎や新婚旅行前に交通事故に会った姉に起こった摩訶不思議な出来事とそのパラレルワールド的な物語。書き下ろし作品4編が実際の出来事をモチーフにして作者が創作したそうです。面白い試みですね。シリーズ7作目読了。今回は珍しく短編集であり、軽めに読めるのが良かった。今までの作品は京都の街をメインに地理や文化を混ぜてくるイメージがあったが今回はそれは少なめで、人物同士の掛け合いを楽しむ感じだった。アオヤマも最期にチラッと出てきただけでミホシとの絡みが少なくそこは少し残念だったかなと。後は少しスッキリしない話もあり短編集だから読めた印象もあるかなぁ。次回作も出るということでメインのストーリーがどう進んでいくのかを楽しみにしてるそれはズルいよ…と思う登場人物が多くて、悲しいというかやり切れない気持ちになりました。読みやすくてスルスル読めたのですが、美星さんってこんなキャラだったっけ?アオヤマさんは?こんな感じのシリーズだったかな…と思ってしまいました。シリーズ第7弾。第4弾以来の短編。実際の出来事を題材にした4短編①③⑤⑦+3超短編②④⑥。①:ビブリオバトルの波乱:全国高校ビブリオバトル決勝大会でプレゼンの順番決め抽選で3と4が2枚ずつトラブル発生。くじに細工をした犯人と目的は?②歌声は響かない:口パクを庇った理由は?③ハネムーンの悲劇:交通事故で新婚夫を失ったのは出発前?帰国後?④フレンチブレスといくつかの嘘:粉が残るの最後まで飲まないほうがいい?⑤ママとかくれんぼ:両親離婚で別れた母との思い出、遠出して公園事務所で過ごした5分が長く感じられた?久々の第7弾、短編4作と掌編3作。決勝で出場順の抽選のトラブルを描いた「ビブリオバトルの波乱」、新婚旅行の往路での事故で、妻の記憶やバッグに入っていた土産等の不思議な話「ハネムーンの悲劇」の2作が面白かったのと、「歌声は響かない」での高校時代の美星がめっちゃ可愛かった。今巻は確かに美星は謎は解くけど影薄めかなぁ、藻川さんもチラッと出るだけだし、アオヤマにいたっては名前も出ず最終話に彼らしい人物が登場したのみ、ちょっと物足りない。やっぱ長編が良いなぁ。あと、ゲイの人の話で“アライ”という言葉を初めて知った。タレーランシリーズ第7弾。実際にビブリオバトルの大会で起きた事件をモデルにする等、いつもとは毛色の違う話でした。辻村先生との関わりや作者がDbD、IDVにはまっている話など、あとがきが面白かったです。シリーズ第七作は短編集。喫茶タレーランを舞台に、美星さんがお客様の話を聞いただけで謎を解決していく。物語としては口を出してもらわないと進まないのだけど、実際にこんな店員が喫茶店にいたら嫌かもしれない……。ビブリオバトルの話とハワイ旅行のお土産の謎の話がよかった。十年前の恋が原因で結婚に踏み切れない男性の話は女性の気持ちはわかるけどやりすぎなような。本人から許可があればオッケーとはいえ、カウンセラーの守秘義務が気になってしまい、共感はできなかった。今年中に8巻が出るみたいなので次回に期待。読みやすい短編集でした。美星さんだけでなく“ハネムーンの悲劇”の真琴など、他者を思いやる強くカッコいい女性の姿は憧れます。次巻を楽しみに待ちたいと思います!シリーズ7巻目はショートショートを含む7編の短編集でした。なんだか4巻目と同じで作者が思いついたトリックをタレーランの設定を借りて書いたという印象ですね。アオヤマはほとんど登場しませんし,美星のキャラもぶれているような。ほかの登場人物の言動もトリックありきで作者に転がされている感じで,あまりしっくり来ませんでした。そう思っていたら,あとがきで,本巻は「シリーズ読者のためというよりは作者の好きに書かせてもらった一冊」とのこと。ふむ,確信犯ですな。短編です。全部現実の話をヒントにしているということですが、ほんとに練って練って考え抜いて書き上げてる感じがしてすごいなって思います。新作が出るまでに、3年近くかかるのもやむなしですね。最後の恋人の話、全然考えてもいない展開でした。ビックリです。シリーズ第7弾。ショート・ショートを含む7話の短編集。 4本は著者が見聞きした実際の出来事が始点というから凄い!全国高等学校ビブリオバトル決勝大会(2020/1開催)にて「岡崎さんの出番ですね」と仰った辻村先生に応えて短編が完成するの楽しいなぁ。読書の大会のスタッフ、美星バリスタの元同級生、オカルト雑誌の編集長、ガールズバー店員、彼を見守るゲイの清水さん、結婚に前向きになれない男…今回は全てお客さん視点。美星バリスタ、客の話聞きすぎですよw岡崎先生、作家生活10周年おめでとうございます!短編良いですね。全て実際にあったことをきっかけに作られた話とは!美星さん、ちょいちょいおせっかい焼いてますが、それはいいんですが、ママとかくれんぼの時は別にお金をだまし取るようなもんでもないし、そこまで怒らなくてもいいのではと思ったんですが、なんかそんな過去や経験でもあったっけ…?名前が似てる件はおや?と思ったけどやはり救済でしたか。久々のシリーズ新刊は短編集。待った甲斐あって沢山お話が読める!と嬉しくなった。はじめの「ビブリオバトルの波乱」では何故3と4なのかに頭がフル回転。美星さんの推理はまだかまだかとソワソワして納得の着地。楽しかったが青山さんは何処へ?その後読み進めても見当たらず描写がないだけかと心配に。ラストのあの人は違うだろうかと今作一番の謎だった。最も印象に残ったのは「ハネムーンの悲劇」。SFを思わせる謎と珈琲好きなら気づく違和、あのコリコリが安堵と戸惑いをもたらすお馴染みの感覚に引き込まれ、苦味と深味がとても良かった。久しぶりの『タレーラン』シリーズ。今回は短編連作で、作者自身が見聞きした出来事を小説にするという裏テーマがあったとのこと。面白かった。各短編の合間に掌編があって、個人的にはそっちがより好みかも。メインの短編の中でのお気に入りはやっぱり『ビブリオバトルの波乱』かなあ。まだ実際のビブリオバトルには参加したことも観に行ったこともないけど。読書家なんてとても自称できないレベルだけど一応本を読むことが好きな人間ではあるので。告発のためではなく読書が嫌いになってしまわないようにという美星さんの気遣いが眩しい。

西の魔女が死んだ。友人関係に悩み学校に通えなくなったまいが外国人であるおばあちゃんの家で生活する物語。

お花や鶏、ジャムを作るシーンからのどかな自然を感じられ、おばあちゃんとまいの、のんびりしたやりとりに癒された。 おばあちゃんが教えてくれる魔女修行の内容は、当たり前だけど私たちが普段忘れてしまっていることの核心をついていて身に染みた。 P57の『人の注目を集めることはその人を幸福にするでしょうか』という言葉が胸に刺さった。 日々生活していく中でインスタYouTube TikTokなど注目を浴びたら凄いみたいな私の中の概念が崩された。 幸福とは何か、考えるきっかけになりました。 何度も再読したい一冊。名著を再読。タイトルはあれだが、ファンタジーではない。魔術や錬金術といったものの根幹は、出来ないことを出来るようにする、である。それは決して非科学的な話ではない。作品を通じて、「自分で決めて、自分で動く」がテーマにある。これは本当に大事だと思っている。これは、正しいとか間違いとかそういう話ではなく、意思の話。情報過多の世の中、なかなか難しいことだが、自分はどう考え行動するのかを大事にしたいと思う。中学での人付き合いを面倒になってこじらせせ、登校拒否になったまいが、田舎に住むおばあちゃんと暮らす話。日々のやらなければならないことの繰り返しの生活の中で、おばあちゃんの姿勢や言葉からまいは思い込みや怠惰な気持ちを少しだけ成長させる。ページの使い方に余裕があって読みやすい。中学生向けの推薦図書として挙げられるが、はたして流されずに考えて行動する一助になってくれるか。久しぶりの読み直し。サンドウィッチやジャムを作ったり、紅茶を淹れたり洗濯したり、お布団整えたり、日常のシーンが、大好き。「まず早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」おばあちゃんのこの言葉を舌頭千転すると、元気出るタイトルが本当に強烈。東洋ならぬ“西”の魔女(全然バレーボールとは無関係だけどね🥲💦)。サブカル好きにはたまらんワード“魔女”。“死んだ”というあえての過去形。全部の言葉選びが最高!単純でいて物語の全てを表している。褒めすぎやろってくらい褒めちゃう。だってこのタイトル心底好きなんだもん物語の進み方も好き。ミステリーで言うところのトリック(=おばあちゃんが死ぬこと)がわかってる以上、重要人物が死ぬが故の涙が端から回避されている状況。にも関わらず涙を誘うラスト!痺れる。。。短くも大切な時間を過ごした少女まいとおばあちゃんのお話。裏庭に生えている植物ひとつひとつの描写が丁寧で、読み手側にまで「草いきれ」が伝わってきた。 「シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」というおばあちゃんの言葉にまいが納得するシーンでは、読み手の自分自身もモヤが晴れたような、ああ、それでいいんだ、と心が楽になったことを覚えている。 万人にオススメできる一冊。インパクトあるタイトルの本を捲ると、自然に寄り添いながらいきいきとした世界が広がっていた。西の魔女こと大好きなおばあちゃんのもとで修行を受けたまいの成長物語。肝心要は意志の力、自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力…怠け心やあきらめ、投げやりな気持ちに打ち勝ち黙々と続けて少しずつ強くしていく…疑惑や憎悪といったもので支配されないように。食事の尊さ、壮大な自然が織り成す繊細さと魅力の描き方が素晴らしく心地良い読後感。不変で大切なのものを後生へ私のなかでは死は暗くつらくかなしいもの。 でも、死を通してよりその人と近づいていけるのかもしれないという考えはいいなと思った。イトルからして、あぁ、おばあちゃんが亡くなってしまう話なんだなと思ってはいたが、悲壮感だけに捕らわれない物語だった。まいの置かれた状況を理解し、魔女の修業を提案する祖母。時にはぶつかりながらも過ごた時間は、どれだけ経過したとしても永遠に残り続けるものだと思った。最期の時まで、祖母は祖母らしく、そして祖母を思うまいは、きちんとメッセージを受け取っていたのが感動的だった。穏やかな生き方が垣間見えるので、こちらも幸せな気分になれた。生前の祖母を見ているようだった。実家から離れているとき、先送りにした祖母からのメールの返信が間に合わなかったことが未だに悔やんでもくやみきれない。本編でも似たようなシーンがあるけど、魔女の死は清々しく書かれていて、数年越しに少しだけ気持ちが楽になった気がした。 「自分で考え、自分で決める。」 風通しが良すぎて強風が吹き荒れ喘ぐ現代人に、「魔女修行」は必要なことに違いない。 私が最後にそうしたのはいつのことだろう。おばあちゃん(西の魔女)から、まいが教わった事は私達が生きていく上で、とても大切だと思った。簡単そうで実践し、続けていくのは難しい。「早寝早起き、食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする。」それを身につけたら、魔女修行の必須条件。「自分で決める。」自然いっぱいの中で、まいがおばあちゃんと過ごし学んだ事は、誰にでも当てはまる、魔法の媚薬のようだ。再読。中学になり学校へ通えなくなった少女が、西の魔女(おばあちゃん)のもとで過ごしたひと月あまりの物語。魔女の修行(人としての心構え)の”何でも自分で決めること” ”大事なことは自分で見ようとしたり、聞こうとする意志の力” ”自分の直観を大事にしないといけ無いが、その直感に取りつかれてはいけない”などの言葉が印象に残った。また最後の西の魔女からのメッセージが良い。自然に近い状態で生きるって本当に素敵な生き方だと思うし、自分だけの場所があるのはすごく共感できた。まいのパパが当時流行ってた死に対する答え方してたけど、流行りに流されずに自分の考えを持って物事を捉えたい。それと、毎日同じリズムで生きるってすごいこと。なかなかできない。自分で考え、自分で決める。シンプルだけどずっしりとした言葉。 魔女修行とは、人が自立して生きていくために必要なことなのかもしれない。20年前くらいの本なのに、今読んでも古さを感じないというか、むしろ今読んで正解だったかも…。魔女になるために必要なこと、私が生きてく上でも大切にするべきことだな。こういう、丁寧な暮らしみたいなものに憧れるけど、私は実行も継続も無理そう…(笑)物語の中の景色がとても鮮やかで、その分まいの息苦しさとか、色んな気持ちも浮き出てる感じがして良かった。話の最後、おばあちゃん(西の魔女)が亡くなったというのに(?)、重たくならずなんだか温かい終わり方でそれもまた良かったです。悲しくも爽やかな読了感が不思議。それもきっと魔女の力。主人公は伝えたかった事をさいご伝えられず、それを見越したおばあちゃん、主人公が悲しまない苦しまないよう、最後まで愛を残してくれたんだなと。学校に行くのが辛い子に、学校だけが世界ではないから大丈夫だよ逃げてもいいんだよと伝えたい一冊。マイは、中学が始まり登校拒否になりました。そこで田舎に住むおばあちゃんのところへ。西の魔女ことおばあちゃんの暮らしは自然から受け継いだ知恵と生活の基本が筋金入り。古風で自然体なおばあちゃんのもとでマイは徐々に生きる力を兼ね備えます。そこには難しいことは何もなく、人が生きるうえで必要なことがさりげなく、あちらこちらにちりばめられている。おばあちゃんが亡くなり、後悔が深まるマイでしたが、西の魔女は粋な計らいを忘れない。窓ガラスの伝言を見つけた時、西の魔女の魂を近くに感じられました。微かな安心感が残ります。

AXアックス。殺し屋シリーズ第3弾ヒリヒリする殺しのシーンは少なくどこかホームドラマ的なストーリー。ここまで感情移入させといて兜の死はショックが大きすぎる。

殺し屋と恐妻家という毛色の違い過ぎる要素をあえて合体させることで生まれる奇妙なギャップが楽しい作品だった。 ただこのシリーズの醍醐味であった殺し屋同士の息詰まる駆引きが薄くなってしまったのは残念。業界の事情に精通しているはずの医者が兜のハッタリにあっさり踊らされるのもなんだかしっくりこなかった。シリーズ皆勤の押し屋も今回は完全にファンサービスという感じでわざわざあの場面で出す必要あったのかなぁと思ってしまった。個人的にはグラス、マリアの方が楽しめた。一番身近な家庭と一番遠い殺し屋稼業を繋いだ作品。 兜の家族愛、冷徹な殺し屋が友人を作り、感情を持っていく様子にほっこりしました。 印鑑の仕掛け…傾くことの意味がわからなかった…誰かご存じでしたらご教示を…途中で一回物語の区切りがついて(ある人物の死)、それを起点にまた物語りが進んでいくという展開が自分にとって新鮮で面白かった。 伊坂さんの書き方が上手いからか、殺し屋という非道な人たちなのにこのシリーズでは毎回誰かしらを応援したくなる。お父さんかっこいい。 主人公、まさかのナレ死にかなりショックを受けた。 最後まで読むと、涙。 蟷螂の斧、最後に回収。 一章目の終わりが呆気なく、次の章が全話は無かったことかのように始まるのが、兜が如何に敏腕で有能かが浮き彫りになる(その後の展開は語るに及ばず)、奈野村さんは本当に強い相手だったのだろうし。 解説にもあるけれど、人はいつか必ず死ぬ。 でも殺し屋にやられなきゃいけない人生は歩まないようにしようと思った 私は、とっても好きな人の影響で、瀬尾まいこの小説が、大好きで大嫌いなんです。理由は、人が急に死ぬから。本書を読んで、久しぶりにその味わい(?)を思い出しました。悔しいんだけど、確かに心は揺さぶられるし、読んでよかったと思うんだけど、面白いんだけど、シリーズの中でも、僕はこれが一番好きだけど、 だけど、 大嫌いです!殺し屋三連作、とうとう一気に読み切ってしまいました。三作目は、妻の尻に敷かれ息子を愛する家庭人の殺し屋、兜が主人公。この業界からの足抜けは命がけで、兜は死に追いやられる(えっ、こんなに簡単に...)。しかし、そこからの謎解きがスリリング、最後には一矢報いた。兜の最期の言葉、家族の思い出が次々に眼前に浮かんで暖かな気持ちになる下りは、悲しくも新鮮。走馬灯ってこんな感じなのか。でも、作中、兜も繰り返し自己を振り返るが、やはり因果応報だなあ。再読。「殺し屋」シリーズ3作目。これはやはり名作。殺し屋で恐妻家の兜が、家族を守ろうとする姿に、感動を覚える。そして妻に対する徹底した態度にも。でも生きていてほしかったな〜。凄く面白かったし、結構じんわりと感動させられた。設定からもっとライトで個性的な価値観がベースの展開かと思ったが、家族愛と幸福を根底に、手に入れた故に自分を殺してでも守ろうとする父親の葛藤と決意が胸を打った。妻と子供を持つ男には堪らない素晴らしい主人公の生き様だ、殺し屋ではあるけれど。恥ずかしながらAXをえーえっくす、と思っていたわたしが読み終わり、解説をチラ読みの際、やっとアックスと読むことを知るに至りました。昔のプロレスラーがかけていた技にアックスボンバーというのがあった、ではあれも斧であったのか…知らなかった…。というのは良いとして、殺し屋にこんなに感情移入させる伊坂氏、どんなものにだって感情移入させられる魔術の使い手ですな。妻の逆鱗に触れないためのふんだんな工夫を記したノートを読み涙ぐむ克巳くん、あなたはなんて良い息子だ。父の隠し部屋の扉をみずから開けないでくれてありがとう。恐妻家の殺し屋を主人公にした連作、と思いきや…。やけに過去作の殺し屋が顔を出してくるなと思ったら、一部には殺し屋シリーズ(本作は第3弾)と呼ばれているらしい。いつもながら、この伏線は読めた!と思ってもその先に二の矢、三の矢を仕掛けているのはさすが。でもヒントはちゃんと散りばめられていて、フェアだなと思う。ポップな映画のようなタッチで描かれているが、父の幸せや愛に静かな感動がある。本編と関係ないけど解説の「伊坂幸太郎は死の不安を書く作家だ」という一文は目から鱗だった。なるほど最後の最後の奥さんとの馴れ初めに胸がジーンとなった。兜のしてきたことは許されることじゃないし当然の報いといえば当然の報いだとは思う。ただ奥さんと息子にとってはヘコヘコしてるけどいい夫でいいお父さんだったのも事実。切なくて寂しくてほんのり心があたたまるいいラストだった今回の主人公は、超一流の殺し屋『兜』。息子の克己も呆れる程の恐妻家。妻との上手なやり取りとか、殺し屋稼業以外の部分が見えて面白かった。『FINE』は克己パート。父の死の真相を追っていくうちに怪しい感じに巻き込まれハラハラした。さすが伊坂さんでした。完全に読む順番を間違えてしまった(笑)ついついタイトルに目が惹かれて買ってしまった作品が殺し屋シリーズとして連作だったとは、、、。悲しい。いや、でも普通に途中から読んでも楽しめたことは事実。家族に隠しながらの殺し屋稼業。殺し屋として生活していくこと、しかも家族と共に生活していくことはなかなか難しい。そもそも殺し屋自体あってはいけないが、、。それでも兜の幸せを願ってしまう。兜に惹かれていってしまう。本来の自分を取り戻すために殺し屋稼業をやめる選択をした兜に襲い掛かる試練。悪から逃げるのは簡単ではないな、。いやー!面白かった。特に「EXIT」「FINE」の展開は爽快!!勝手に兜は生きていて、あのマンションに隠れて克巳たちを見守っていると妄想していたので、やっぱりいないのか…と悲しい気持ちになった。殺し屋稼業、そんな甘くないよね。。。兜夫婦の会話が若干私たち夫婦に似ていて、もしかして夫は怯えて暮らしているのか?と不安に思った次第。兜と中盤からムスコの克巳視点で話が進んでいく。最終的には医者を倒して?終わるが、物語の進め方が個人的には合わない感じだった…他2冊積み本にしてしまっているので読むが、もう読まないかもなぁ…「サブマリン」に続き伊坂幸太郎36番目の作品「AX(アックス)」を読了。殺し屋シリーズ第3弾の連作短編集。「マリアビートル」とはまた違ったテーマ、コンセプトで、家族愛に満ちたセンチメンタルでハートフルな殺し屋たちです。主人公は扼殺が主の「兜」。稀代の愛妻家&恐妻家&家族を大切にする愛すべき男なので、思わず感情移入してしまいます。特に書き下ろしの「EXIT」「FINE」の息をのむ展開と伏線の回収が見事です。未完の「Drive」もぜひ書き直して掲載して欲しかった。読みやすくて読後感も最高!超お薦めの一冊です。面白かったけど貼られた伏線が回収されない物足りなさや、ストーリーや世界観への非共感制が拭えなかった。 前半の暗殺者なのに妻への不満の話の方がメインで話されているアンバランスな話が長いにもかかわらず、最終的になぜ妻がそれ程までに怖かったのかも分からないまま、なぜ殺し屋になったのかも分からないまま、現実の世界と結びつけるのが難しいストーリーだった。何だよ、このラスト!殺し屋シリーズでこんなハートフルなエンディングをもってこられたら、参りましたとしか言えないじゃん。グラスホッパー、マリアビートル、AX、シリーズってことになってるけど、それぞれ全く違っていた。私はこのAXが1番好き。解説に印鑑のことが書いてあり、全く気付いてなかったので前の2冊を確かめてしまった。「ここは印鑑で」「こんな風に」って指定をするんだろうか。編集者や印刷屋泣かせだったりしないんだろうか。